30秒で苗投入が可能 植栽機「テリジノロボ」 松本システム

森林施業で、もっとも過酷で危険な作業といわれる下草刈りと植栽作業。そうした作業環境の改善と効率化を目指して松本システムエンジニアリング=松本良三社長、福岡県糟屋郡篠栗町和田5―2―25=が開発したのが植栽機「テリジノロボ」だ。自動で掘削・苗投入・転圧まで30秒で実現。傾斜地を平らにして植栽する点に驚かれている。
伐倒造材機と並行して開発を進めているのが下草刈りと植栽用の機械。森林施業において、もっとも過酷で危険な作業といわれる下草刈りと植栽作業をもっと楽な仕事に改善することを目指している。そのコンセプトで開発したのが下刈り装置「アマルガロボ」。4~5tクラスのミニ建機に装着可能なアタッチメントで、全旋回式ローテータを採用。スイング機構によって左右45度のスイングができるなど、キャビン内にいながら下草刈りができるのがポイントだ。
更に、今回紹介する植栽機「テリジノロボ」は、4~5tのミニ建機に取付けるアタッチメントで、掘削から植付け、転圧まで自動で行う仕組みになっている。300㏄までのコンテナ苗の植栽が可能。1本約30秒で植付けができる同機。転圧をすることで根鉢と土を密着させることができ、実証では苗木の高さ約65~80㎝、コンテナ直径約5㎝のものも植栽することができたとのこと。
また、同機には水噴射機構を搭載し、水圧で苗を奥まで入れ込むという新発想が盛り込まれている。機体内部に5ℓタンクを2個搭載して、約50㏄の水を噴射し、その水圧で苗を確実に投入するというものだ。加えて、植付けと同時に水だけでなく液肥などの吹付も行うことができるため、傾斜地でも階段状の植付けも簡単に行える点もポイントだ。左右45度にチルトさせることができるので、ベースマシンが傾いても垂直に植栽できる点に、来場者から驚きの声があがったそうだ。また、植栽した位置を記録するシステムも開発中である。
下草刈り機と分離できるようにしたことで、時期に応じて使い分けができるようにしたとのこと。植栽機自体の重量を軽くすることで、同社の最長12m先の立木を伐倒できるロングアーム伐倒機「ブラキオEX」に装着することも視野に入れているとのこと。
昨年11月に栃木県塩谷町内の森林で県内の林業関係者のほか、関東森林管理局、林野庁など約100人が参集して実施した「スマート林業研修会」でラジコン伐倒機「シン・ラプトル」、「フェラーバンチャザウルスDX」とともにデモを行い、きれいに苗木を植える様子を披露した同機。過酷な植付け作業の省力化が実現できることから大きな期待を集めており、販売に向けて準備を進めている。