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高栄養価で普及拡大 熊本玄米研究所の玄米ペースト事業

高栄養価で普及拡大 熊本玄米研究所の玄米ペースト事業

高栄養価で普及拡大 熊本玄米研究所玄米ペースト事業

 
 
 減少が続く米需要を回復させる一手として期待を集めているのが、熊本玄米研究所(西山忠彦社長)が取組む玄米ペースト事業だ(関連記事9面)。

 減少を続ける米需要への対応として、水田転作が推進されている。一方でわが国の耕地面積の約4割を占めている中山間地域では、水稲以外の栽培が難しく、中山間地域で営農を継続させていくためには、いかに米需要を生み出すかが重要なポイントとなっている。そうしたなかで「わが国の農耕文化の源である中山間地を守り、農村に黄金の稔りを、原風景を取り戻したい」(西山社長)との想いのもとスタートしたのが、同社の玄米ペースト事業だ。
 
 玄米ペーストは、「日本農業を守る」という利点に加えて、様々な栄養を摂ることができることも利点の一つだ。高い栄養価を持つ玄米だが、その栄養素の8割が米ぬか部分にある。熱を加えず加工する玄米ペーストは、この栄養を壊さず、余すことなく摂ることができる。

 作り方は、まず収穫した玄米を工場に集荷。使用する米は全て熊本県産米で、集荷する工場は食品安全マネジメントシステム(FSSC22000及びグルテンフリー認証機構(GFCO)を取得している。集荷後は正確に計量後きれいに水洗し、表面の汚れを落とす。更に特殊な装置を使って玄米表面を除菌する。次は水浸漬工程。きれいに洗われた玄米を容器に入れ、水を加えて寝かす。寝かせて柔らかくなった玄米にきれいな水を加え高速ミキサーで一気に微粉砕処理を行う。これで玄米ペーストが完成。使いやすいよう計量、凍結させて保管、必要に応じ使用する。

 現在玄米ペーストで作られているのは、一部小麦を使用した玄米パン、小麦を一切使用しておらずグルテンフリーの玄米パンのほか、玄米パスタ、玄米フジッリ、玄米フィットチーネなどのパスタも発売中。加えて先ごろ玄米ラーメンもラインナップに加わっており、幅広い食べ方が可能となっている。玄米パンやパスタなどは熊本県菊池郡菊陽町の玄氣堂で買えるほか、通信販売(下のQRコード)でも購入できる。


      玄米ペーストを製造している工場


グルテンフリーを訴求 熊本玄米研究所生産管理部長 西山今日子氏

 
 父であり、熊本玄米研究所の社長である西山忠彦氏の、米に対する熱い想いを引き継いで、玄米ペーストの販売促進などに取り組んでいるのが、同社の西山今日子・生産管理部長だ。前職はテレビの制作会社。ニューヨークでの駐在経験もある。それだけに〝瑞穂の国、日本〟の文化の柱ともいうべき米には、西山社長とはまたひと味違うグローバルな視点からの思い入れと発想力も感じた。
 着実に伸びてきているという玄米ペースト事業。西山さんは「米粉が注目を集めるなか、グルテンフリーにも注目度が高まっている。弊社にも、小麦アレルギーをお持ちの方からの問い合わせなどが増えている。私の周りでも健康のために〝グルテンフリーをやっている〟人が増えてきた。いま玄米ペーストに風が吹いてきたと感じている。海外ではグルテンフリーの市場は非常に大きく、輸出も期待できる」と展望を語る。
 また〝見せ方が大事〟と西山さん。農業はカッコイイもので、子どもたちのなりたい職業ランキングに入ってくれるよう様々な形で発信していきたいと語る。玄米研究所の事業については、「『グルテンフリーと言えば熊本玄米研究所』といって頂けるまで拡大させたい」と述べた。