農林水産省は、農作業の受託、農業機械のレンタル・シェアリング、人材派遣、データ分析などを行う「農業支援サービス」を、持続可能な農業の実現に向けた重要な基盤と位置づけている。これらのサービスは、農業の省力化・効率化を推進するうえで不可欠な存在であり、同省はその支援体制を強化している。 令和8年度の予算概算要求では、「スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート事業」として、前年度当初予算を大き...
農水省、「作況指数」を廃止へ―新指標「作況単収指数」を導入予定 2025年7月、農林水産省(農水省)が総務省に申請した「作況指数の廃止」について、総務省統計委員会で正式に議論が行われた。 委員会では廃止を「妥当」と判断し、代替指標として新たに「作況単収指数」を公表する案についても検討のうえ了承する旨を答申。今後、総務省内での正式な決定手続きが進められる見通しだ。 「作況指数」廃止の理由 農水省によ...
農林水産省が公表した「令和6年地球温暖化影響調査レポート」によると、水稲の高温耐性品種の作付面積がこの10年間で約2.5倍に増加したことが明らかになった。 令和6年産では、高温耐性品種の作付面積が20万6,000ヘクタールに達し、主食用米全体の16.4%を占めるまでに拡大している。 こうした背景には、地球温暖化の進行による気温上昇と、それに伴う水稲の高温障害リスクの増大がある。高温耐性品種の普及は...
政府は9月12日、令和7年度から11年度までの5カ年の「土地改良長期計画」を閣議決定した。 新たな計画では、4つの政策課題を設定、それぞれに政策目標を設定した。具体的には次の通り。政策課題、政策目標の順。 ①生産性向上等に向けた生産基盤の強化=「農地の集積・集約化及びスマート農業の推進に向けた基盤整備による生産コストの低減」「国内の需要等を踏まえた生産の拡大」②農業用水の安定供給及び良好な排水条件...
農水省は先ごろ明らかになった令和8年度予算で乾田直播など米の生産コスト低減による生産性の向上の支援強化を決めた。今回新たに計上した「米穀等安定生産・需要開拓総合対策事業」39億5700万円のうち、米穀等生産力強化促進事業19億3500万円のなかで水稲直播栽培導入促進事業を設定。3億円を計上している。事業では播種機や鎮圧機等の専用機器の導入に必要な経費を支援するほか、試験的に播種作業を外部委託等する...
農水省は8月20日、随意契約で売り渡された政府備蓄米について、販売期限を「引渡し後1カ月」へと延長することを決めた。売渡当初は、新米の出回りを考慮し、8月31日までの販売を求めていたが、引き渡し期限の8月20日付でも10万tが引き渡されていないことから今回の延長を決めたもの。引渡し後1カ月となってはいるが、今後新米流通も始まり、引き渡しの完了は見通せない状況にあることから、備蓄米販売が長期にわたる...
アフリカ開発会議(TICAD9)横浜で開催 ― 日本とアフリカの経済協力を強化 TICAD9とは?アフリカ開発をテーマとした国際会議 第9回アフリカ開発会議(TICAD9:Tokyo International Conference on African Development)が2025年8月20日~22日、横浜市のパシフィコ横浜で開催されました。本会議は1993年から日本政府が主導し、国連、国...
今なお続く米を巡る混乱について、農水省は需要量等の見通しを見誤り生産量が不足していたことが要因との調査結果を明らかにした。5日に開かれた米の安定供給等実現関係閣僚会議で小泉農相が明らかにしたもの。 農水省が毎年まとめている需給見通しにおいては、人口減により需要が毎年10万tずつ減少するとの見通しを前提に作成していた。 一方、実際はコロナ禍以降インバウンドが急増。それに伴い、米でもインバウンド需要が...
レイブプロジェクト代表・請川博一氏による講演ビジョンテック(茨城県つくば市)は9月30日、「農業WEEK」を目前に、ドローン散布事業者向けの講演会を幕張市内で開催した。農業の人手不足が進み、請負防除サービスが求められる中、小規模事業者でも大規模面積を受注できるシステムを構築するため、来年度に「マルチコプター連合会」の立ち上げを目指す考えを示した。また特別講演では、北海道旭川市を拠点に年間1万haの...
トヨタ自動車(佐藤恒治社長、愛知県豊田市トヨタ町)は、第15回「農業WEEK」において、農家の長年の課題である草刈り作業を効率化する新製品「電動コンパクト草刈機(ELECTRIC COMPACT MOWER)」を参考出品した。 この電動コンパクト草刈機は、トヨタが掲げる**「幸せの量産」の理念およびSDGsの目標達成**を背景に開発されたものであり、日本の食料自給率向上と農家の負担軽減を目的として...
新潟クボタ=吉田丈夫社長、新潟市中央区鳥屋野331=が今年6月に村上市にオープンした「新潟クボタアグリベース」において9月26日、「DX(デジタルトランスフォーメーション)による人手不足の解消」をテーマとした中央日本地区経済同友会による視察が行われた。 新潟経済同友会を含めた甲信越・北陸・東海などの10同友会が、「第33回経済同友会中央日本地区会議」を新潟県で開催したことから行われたもので、アグリ...
やまびこジャパン(水嶋伸介社長、東京都青梅市)は2024年9月24日、「マルチハイブリッドシステム」をテーマとしたウェビナーを開催した。 今回のウェビナーは、「BCP対策とカーボンニュートラルの両立を実現する革新的な発電ソリューション」と題し、やまびこの最新技術であるマルチハイブリッドシステムの構成と特徴を解説したものである。 このシステムは、再生可能エネルギーを主電源としながら、蓄電池と発電機を...
ヤンマーホールディングス(山岡健人社長、大阪市北区茶屋町)は、10月1日から3日まで、千葉県千葉市にある幕張メッセで開催される農業・畜産の総合展「第15回農業WEEK」に、食料生産とエネルギー変換の技術で未来の農地を守るプロジェクト「SAVE THE FARMS by YANMAR」のソリューションを出展する。
北海道ボールパークFビレッジ(北広島市)では、四季を通じたシーズナルイベントを実施している。クボタ(大阪市浪速区)は、今年も11月6日㈭~9日㈰に開催されるイベント、KUBOTA presents AGRI WEEK in F VILLAGE 2025(以下、AGRI WEEK)」に協賛。〝食と農業〟の未来を志向する仲間づくりの場である農業学習施設「KUBOTA AGRI FRONT」を中心に〝食...
クボタ(北尾裕一社長、大阪市浪速区)は、9月22日~25日、大阪・関西万博で開かれたイベント「水素パーク‼」で、オートノマス(自動運転)水素燃料電池トラクタのコンセプトモデルを初公開した。水素と空気中の酸素を燃料にして電気を発生させモータによって駆動する。運転席はなく自動運転で農作業を行い、遠隔からの操縦や圃場間移動も可能となっている。
2023~2025年度計画のクラスター事業「土塊・石礫除去装置付きポテトハーベスタの開発」において、開発を進めてきたAIポテトハーベスタの現地検討会が9月18日、北海道鹿追町内ほ場で実施された。午前と午後に分かれて実施し、十勝管内のJAや生産者、クラスター事業などの関係者約100名が出席。実演では作業速度2.5㎞で進みながらAIが馬鈴薯と土塊を正確に選別する様子を披露。実用化に向けて期待を集めた。
岩手県全国農業機械実演展示会の時期がやってきた。今年で78回目となる。例年通り滝沢市の岩手産業文化センターアピオを会場に8月21日㈭~23日㈯の3日間にわたり開催される。主催は岩手県農業機械協会(松田和秀会長)。農業を巡る情勢はますます厳しさを増している。チャレンジ農業で新時代を拓くための「ヒント」を本展示会で探したい。 米価上昇でわが国農業はようやく一息つけた感はある。しかし、依然として担い手不...
気候変動が進む中、作物の高温障害対策はますます重要性を増している。資材メーカーも、高温障害の軽減に役立つ製品を開発し、各種展示会などで積極的にPRしている。一方で、農業現場では人手不足が深刻化しており、特に夏場の繁忙期には高温対策に多くの時間や労力を割くことが難しいという声も聞かれる。そこで、本特集では「高温障害対策に役立つ注目製品」をテーマに、できるだけ省力的に作物の高温環境に対応できる資材や、...
目次 BSの位置づけと展望 業界あげ自主基準づくり 作物の収量ギャップ抑える 日本BS協議会・和田哲夫氏に聞く 自然界からの贈り物 上手な使い方と考え方 ハイポネックス アミノ酸・海藻・菌根菌 様々な活用方法を提案 日本で原料販売加速 ボレガード独自の高機能フミン酸 BSの位置づけと展望 業界あげ自主基準づくり バイオスティミュラント(BS)と呼ばれる新しい資材カテゴリーは、近年、農業資材の展示会...
10月1~3日に開催された「農業WEEK」で、農薬卸の高岡屋(宇野彰一社長、本社:滋賀県草津市)は、種子の表面に農薬(種子処理剤、以下FS剤)やバイオスティミュラント(BS)を塗布する「種子コーティング請負サービス」の『神煉』(カミネリ)を紹介した。2026年より正式に事業を開始する。 種子コーティング請負サービスでは、全国の農家や法人から種子を預かり、異なるメーカーの農薬やBS資材を混用して種子...
シャインマスカットをはじめ、果樹農家を中心に玉張りや食味向上に活用されている天然アミノ酸入り葉面散布肥料「オルガミン」を製造するブラジルのトロピカル・テクニカ・アグリコラ社(以下、トロピカル社)の尾崎俊彦社長が日本での販売元のパルサー・インターナショナル=東京都八王子市城山手1―31―1=を訪問。販売店や愛用する生産者を訪ねた。 トロピカル社は1978年に設立され、「オルガミン」の製造販売を専門に...
OATアグリオ(東京都千代田区神田小川町)は、高温ストレス対策専用のバイオスティミュラント資材「炎天マスター」を、5月12日から全国で発売開始した。 「炎天マスター」は、独自に見出した高温ストレス耐性を高める成分を配合しており、HSF(高温ストレスを感じると発現量が増加し高温に備える指令を伝える)遺伝子の発現を増加させ、ROS(ストレスを感じると量が増えて植物を傷つける物質)を除去する効果が確認さ...
第48回全国育樹祭記念行事として「2025森林・林業・環境機械展示実演会」(林機展)が10月5日㈰・6日㈪の2日間、宮城県石巻市の仙台塩釜港(石巻港区)雲雀野地区で開かれる。主催は宮城県及び林業機械化協会(島田泰助会長)。会場では、過去最高91社・団体により林業の省力・効率化、安全性向上などに貢献する幅広い製品・技術が紹介される。
林業機械化協会(島田泰助会長)は9月29日からYouTube配信で「林業・木材産業作業安全推進ウェビナー」を開催する。視聴可能期間は11月29日まで。 同ウェビナーは令和7年度林野庁補助事業の「林業・木材産業全国作業安全運動促進事業」の一環として行うもの。協会では、同ウェビナーで林業・木材産業の労働災害防止につなげたい考えだ。【詳細】▽公開期間=9月29日㈪~11月29日㈯(1回の事前登録で何度で...
「第4回日本伐木チャンピオンシップin鳥取」(主催:実行委員会)が10月18・19日、鳥取市の鳥取砂丘オアシス広場で開催される。 同大会は、林業の安全作業技術の向上と林業の仕事を幅広い人に広めることを目的に、チェンソーの「安全性・正確さ・スピード」を基準に5種目で実施。18日が予選会、19日が決勝大会となっている。 なお、同大会は、来年3月にスロベニアで開催される「第36回世界伐木チャンピオンシッ...
農林水産省が公表した「令和6年地球温暖化影響調査レポート」によると、水稲の高温耐性品種の作付面積がこの10年間で約2.5倍に増加したことが明らかになった。 令和6年産では、高温耐性品種の作付面積が20万6,000ヘクタールに達し、主食用米全体の16.4%を占めるまでに拡大している。 こうした背景には、地球温暖化の進行による気温上昇と、それに伴う水稲の高温障害リスクの増大がある。高温耐性品種の普及は...
農水省は9月9日、令和6年農作物作付(栽培)延べ面積及び耕地利用率を公表した。 田畑計の作付(栽培)延べ面積は、対前年比5万1000ha(1%)減の386万1000haとなった。この結果、田畑計の耕地利用率は90・4%で同0・6ポイントの低下となった。
農水省はこのほど令和5年産花木等生産状況調査結果(主産県)をまとめた。 花木類は作付面積が2180ha、出荷量は2780万本、出荷額は137億1600万円となった。 品目別でみると、作付面積最大はツツジで150ha。出荷量は354万本、出荷額は10億1000万円だった。次いで面積が広かったのはヒバ類(アスナロ、シノブヒバ等)で145ha。出荷量は298万本、出荷額は14億4100万円で出荷額はヒバ...
農水省は8月19日、令和7年産一番茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県)を公表した。 主産県の摘採面積は前年比1200ha(5%)減の2万2300haとなった。また、10aあたり生葉収量は同32㎏(6%)下回る461㎏だった。これは主に静岡において、4月上旬から5月上旬にかけ、最低気温が低い日があり、芽の伸長が抑制されたため。 この結果、主産県の生葉収穫量は同1万3100t(11%)減の...
地域に根ざした精米所の歩み 栃木県宇都宮市上欠町で「小林さんちのこだわり精米所」を営むのは、小林敏雄さん(77)である。 「地域に美味しい米を届けたい」という思いから、近隣農家から仕入れたコシヒカリを精米し、15年以上にわたり販売を続けてきた。 小林さんの米への深い愛情と精米へのこだわりは利用者の信頼を集め、現在では年間600〜1000俵のコシヒカリを取り扱う規模に成長している。 事業の始まりは、...
11日開催のWAGRIオープンデーの講演では農研機構の中川路理事が農業分野における生成AIの可能性について言及した。以下、要旨。 近年、農業分野でもデジタル化の波が加速しており、生成AIが注目を集めている。生成AIとは、大量の文章データを構文解析し、大規模言語モデル(LLM)を構築することで、自然な対話や文章生成を可能にする技術である。膨大なテキストから言葉のつながりを学習し、次に来る語句を高精度...
一度の散布で作物の生育環境を根本から改善できると注目されている微生物土壌活性剤『納豆菌の力』。近年、この納豆菌由来の土壌改良資材を導入する農業生産者が全国で増加している。 茨城県坂東市でネギを栽培する符盛(フー・セイ)氏(53歳)もその一人だ。符盛氏は、過去3年間にわたり黒腐菌核病による被害で全滅を繰り返し、まさに壊滅的な状況にあった。 しかし2024年、微生物土壌活性剤『納豆菌の力』を導入したこ...
日本農業法人協会(会長:齋藤一志)は2024年5月30日、「コメ生産に係る会員アンケート」の調査結果を公表した。全国の農業法人188社が回答し、令和6年産米の販売価格、生産コスト、収支見通し、今後の経営戦略や懸念事項などが明らかとなった。 米価は上昇基調、販売単価「2万円超」が過半数 令和6年産の主食用玄米(1俵60kg・税込)の販売単価について、最も多かったのは「2万1円〜2万5,000円」で4...