<![CDATA[メディア]]> https://www.nouson-n.com/media/ Sat, 24 Jan 2026 04:20:31 +0900 Tue, 20 Jan 2026 12:00:00 +0900 CMS Blue Monkey http://blogs.law.harvard.edu/tech/rss <![CDATA[高齢化・担い手不足に対応 農業支援サービスの品質向上へ標準ガイド策定進む]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/20/10349  報告ではまず、標準サービス策定の検討状況が紹介された。参入事業者の増加に伴い、農薬散布ドローンでの希釈誤りや高所・強風下での散布によるドリフト事故など、技術知識の不足に起因するトラブルが顕在化しているという。こうした課題を踏まえ、EYは専門作業受注型サービスのうち、需要が増大しトラブル発生頻度も高い「無人航空機による農薬散布代行」「草刈り代行」「稲作収穫代行」の3つを優先的な標準化対象として整理した。標準化は、作業マニュアルとは異なり、事前合意から作業実施、トラブル対応に至る「サービス提供全体の標準フロー」を体系化することを目的としている。
 無人航空機の農薬散布では、散布前の周辺環境の確認、薬剤や散布条件について農家との合意形成、トラブル発生時の報告手順、散布ログの共有などが重要項目として挙げられた。草刈り代行では、「料金に含まれる作業範囲」の認識違いがトラブルの主要因となっており、傾斜地や段差の扱い、刈草の収集・処理の有無などを事前に明確化する必要性が示された。稲作収穫代行では、収穫後の品質基準(水分、歩留まり)をどこまで担保するか、また当日のぬかるみなど条件変動時に追加費用や作業中止をどのように扱うかを、事前に合意することが重要とされた。
 また、農業支援サービスには、JA・自治体などが元請け、サービス事業者が受託者、さらに下請け作業者が加わるケースも多い。利用者からは一体のサービスに見えても、実際には責任分界点が異なるため、その整理もガイドライン内で明確化する必要があるという。標準化ガイドラインは、意思決定者向けの「簡易版」と、チェックリストや契約書例、報告書例を含む「詳細版」の2種類で構成される予定だ。
 続いて、NTTデータ経営研究所から「農業支援サービスにおけるスタートアップガイド」の中間報告が行われた。まず、農業支援サービスの利用状況として、播種・防除・収穫などを受託する専門作業受注型が現在8割を占めること、今後は人材供給型や機械設備供給型の利用意向が高いこと、利用者数も増加傾向にあり将来の需要拡大が見込まれることが示された。こうした状況から、新規参入者の増加が期待されると説明した。
 ガイドでは、新規参入者がつまずきやすいポイントを整理し、事業計画の立案からリソース確保、リスク対応、体制構築までを段階的にまとめている。参入事例のヒアリングやアンケート調査を通じて、特に課題となりやすい点として、農家とのつながり不足によるニーズ把握の難しさ、参入すべき地域・作目の選定、料金設定、閑散期の収益確保、サービス提供に必要な自社人材の採用が困難であるなどの、人材採用の難しさなどが挙げられた。
 対応策としては、自治体や既存事業者との連携やJAとの関係構築、自社とつながりのある地域への働きかけ、複数地域でのリレー形式によるサービス提供、別事業との組み合わせによる収益平準化、ヒアリング等による情報収集、SNS活用や農業学校との連携による人材確保、研修・免許取得等教育機会の提供、契約書整備やリスク管理体制の構築などが示された。スタートアップガイドは今後、契約書の雛形や関連法制度一覧、サービス別の具体事例を加えた詳細版として取りまとめられる予定である。]]>
Tue, 20 Jan 2026 12:00:00 +0900
<![CDATA[農業支援サービス意見交換会 現状と課題を共有 ヤンマーアグリジャパンは直播関連機械など紹介]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/20/10348
農業支援サービス意見交換会(主催:農林水産航空・農業支援サービス協会)が全国5ブロックで開催されている。北陸ブロックでは、13日に新潟県で開かれ、香川県観音寺市で水稲・麦の生産と農作業受託を中心に事業を展開するベイファームが自社の取り組みや現場の課題を報告。スマート農業技術の導入や補助事業の活用を進めながら、地域の生産から出荷までを支えている現状を紹介。また、ヤンマーアグリジャパンからは活用可能な機械として直播機などの紹介が行われた。]]>
Tue, 20 Jan 2026 12:00:00 +0900
<![CDATA[林業等の景況DI 見通しはプラス拡大 設備投資は「更新等」最多 ]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/20/10347  それによると、素材生産業者の令和7年度見通しの景況DIは6・5と、令和6年度実績(3・0)からプラス幅が拡大する見通し。また、木材加工業者の令和7年度見通しの景況DIはマイナス26・8と、令和6年度実績(マイナス32・4)からマイナス幅が縮小する見通しとなった。
 令和7年度の設備投資DIは、素材生産業者が14・4(令和6年度17・4)、木材加工業者がマイナス7・2(同9・0)の見通し。投資計画の主な目的と内容は、各業種とも「更新・改修」が最多。次いで、「合理化・省力化」「経営規模拡大」の順となった。
 一方、今後の経営発展に向け取組みたい課題(3つまで選択)は、各業種とも「人材確保・育成」とした割合が最も高く、素材生産業71・9%、育林業52%、木材加工業56・5%、木材流通業62・1%。次いで、素材生産業者では「作業の合理化・省力化」44・2%、木材加工業者では「原料の安定調達」49・1%だった。
 また、「後継者が決まっている」とした割合は、素材生産業者、木材加工業者とも3割台となり、「決まっていないが、候補はいる」まで含めると約7割。後継者(候補)との関係は、「経営者の子」とした割合が最も高くなった。
 再造林を行うにあたっての課題(複数選択)は、素材生産業者が「主伐の収入で、主伐又は再造林費用をまかなえない」(再造林を実施43・8%、主伐実施も再造林は未実施52・9%)、森林組合等では「(山林所有者が)森林経営に興味がない」とした割合(56・5%)が最も高くなった。また、「再造林コストを下げるために行っている取組」は、素材生産業者では「機械による地拵え」(66・7%)、森林組合等では「コンテナ苗の植栽」(66・4%)とした割合が高くなった。]]>
Tue, 20 Jan 2026 12:00:00 +0900
<![CDATA[スマート農業普及へ182億円]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/20/10346 自動操舵など支援
令和7年度補正・8年度当初1件当り上限2.5億円
 農機への直接補助を対象とする事業としては「これまでにない大型予算(7年度補正、8年度当初あわせ約182億円)」(農水省)となる、「スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート事業」のうち、「スマート技術体系への包括的転換加速化総合対策事業」(以下、スマ転事業)について、各種説明会が開かれ本格的に動き出している。スマート農業技術を活用し、農業機械の導入とその効果を高める栽培体系への転換に必要な経費を支援するもので補助上限は2・5億円。]]>
Tue, 20 Jan 2026 12:00:00 +0900
<![CDATA[井関農機 創業100年 グローバル表彰大会で次の100年へ決意新たに]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/20/10345  今年100周年を迎えた井関農機(冨安司郎社長)は1月15日、それを記念し、海外や製造関連会社も含めた井関グループ全体の表彰大会として、東京・港区の「ホテルグランドニッコー東京台場」に1000名、オンライン含め4000名が参加する「2026年ISEKI Global Awards」を開催した。創業100周年のスローガン「Your essential partner」を掲げ、この先の100年もかけがえのない存在であり続けることを誓った。
 「ISEKI Global Awards」は、オペラ歌手・中野亜維里さんが壇上に登場、大スクリーンに映し出された井関農機100年の歴史の映像を背景にアリア「君と旅立とう(和訳)」を熱唱し、凛とした空気の中、幕を開けた。

 


 冨安社長が登壇。はじめに、全国各地で熾烈な競争を勝ち抜き、優れた成績を収めた特約店、販売会社の拠点、トップセールスマン・サービスマンの労をねぎらい、感謝の意を伝えた。その後、昨年の市場環境を振り返り、プロジェクトZが順調に進捗していることを報告、2026年度の取り組みについて要点を絞り説明した。最後に「我々を取り巻く環境は日々大きく変化しているが、『プロジェクトZ』を完遂させ、次の100年に向けた強靭な経営基盤を構築していく。本年はその成否の鍵を握る大事な年だ。守るべきものを守るためにも『変革』を!。グループ一丸で大きな波を起こそう。その先に"新しい100年"を切り拓いていけると確信している」と力強く語った(別掲)。
 その後、石本徳秋・営業本部長が国内の営業方針を説明した。ドジャースの大谷翔平を引き合いに出し「営業力は『攻め』として市場を切り拓き、ガバナンス体制の強化は『守り』として組織の基盤を固める。この両輪を力強く回すことでグループ全体の利益向上を目指す。2026年は、"ISEKIグループ二刀流"の型を完成させる年」と、2026年に向けて"結束力"を呼びかけ、奮起を促した(別掲)。
 続いて、渡部勉開発製造本部長が挨拶。開発製造本部で取り組んでいる『生産最適化』『開発最適化』を説明。続いて新型JapanトラクタBJの発売を宣言。屋外会場と結びBJを初披露、紹介した(別掲)。
 この新型JapanトラクタBJは本Global Awardsの会場屋外に展示、説明も行っていたが、来場者の関心は非常に高く、乗り心地や、操作盤の感触を実際に確かめ、また、担当者に熱心に質問。さっそく納品して欲しいとの声も上がっていた。
 続いて、木全良彰海外営業本部長が挨拶。海外事業の状況と今後の事業展開を説明した(別掲)。
 次に社長賞授与。社長賞は全社的に見て特に顕著な業績があると認められる、或いは全従業員の模範と認められる個人及びグループを表彰するもの。4件が表彰された。功労社員表彰として①国内向け中型トラクタBFシリーズの商品化(井関農機トラクタ技術部・先端技術部・エンジン技術部・デザイン部・品質統括部・購買部・商品企画部・ISEKI Japan・ISEKI M&A・北米駐在・井関重信製作所・井関南吉田製作所の計32名)②アイガモロボ(IGAM2)の商品化及び新規顧客拡大を含む販売計画の達成(ISEKI Japanの計14名)③IMG社2024年度過去最高上達成(IMG/ヰセキヨーロッパの16名)。また創意工夫社員表彰として「品質管理システムチェックシート電子化による品質管理体制の構築」(PTヰセキインドネシア3名)。
 続いて愛媛県発明協会会長賞を「直進アシストレバーの発明」で受賞した井関農機のアグリ技術部・堀田直岐氏(ほか6名)と井関グループ全社技能コンクール最優秀賞者の紹介。①溶接部門:ISEKI M&D松山製造部・串山正範氏②組立部門:PT.ISEKIインドネシア・イイップ氏③塗装部門:同・トニ氏④機械加工部門:井関農機工作室・山岡聖弥氏。幅広く社員の功績を披露し現場の士気を高めた。
 その後、海外関連会社が自己紹介。ISTファームマシナリー社は2013年設立。従業員数51名。販売店数タイ国内18社・ほかに国外代理店。「少人数だが、累計7000台のヰセキ製品を販売した」。ヰセキUK社は2017年設立。従業員数17名。販売店数99店。「7年間で売り上げを2倍に拡大。2026年からはプリクット新社長のもと新体制で一層の拡大を図っていく」。ヰセキドイツは1980年設立。従業員数220名。販売店数250店。「これまでISEKIとともに"景観"を築いてきた。これからはともに"未来"を創っていく」と。ヰセキフランスは2014年設立。従業員数110名。販売店数1100店。「2025年度、我々は過去最高の売上を更新、営業利益も計画を上回る見込みだ。コンパクトトラクタの分野では、常にトップランナーとしての地位を堅持することを至上命題としている。この目標達成にはこれまで以上に井関農機との強固な連携が不可欠だ」と述べた。その後、冨安社長からヰセキフランスのフィリップ社長に感謝状と記念品が贈呈。
 休憩をはさみESC(エクセレントサービスクラブ)・同プレミアム認定、SRC(スーパールートセールスクラブ会員)・同プレミアム認定、SSC(スーパーセールスクラブ会員)・同プレミアム認定。そして拠点採算優秀賞(新設)。特約店表彰75店(別掲)。認定・表彰され登壇していく姿はいずれも意気揚々として誇らしげで、これぞ井関を支える底力だと感じた。
 そして、販売会社表彰。最優秀賞にはISEKI Japan東北カンパニーとISEKI Japan関東甲信越カンパニーが輝いた。優良賞は群馬ヰセキ販売、敢闘賞はISEKI Japan九州カンパニー。
 この1年、万感の思いがあったのだろう。表彰式、冨安社長の目にはうっすらと涙が滲んでいたようにも見えた。谷常務が閉会挨拶(別掲)。第2部(懇親会)に移った。

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Tue, 20 Jan 2026 12:00:00 +0900
<![CDATA[クボタ主催 GROUNDBREAKERS㉖ アワードは㈱うめひかり代表の山本将志郎氏が大賞に]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/20/10343  第1部では、クボタの営農ソリューションや2026年新製品として、農業用ドローンT70K、えだまめコンバイン、湛水直播機の紹介に加え、スマート農機の基本性能に関する研究開発の取組や、技術者の想いも紹介された。また、農業経営者による実践的な事例も取り上げられた。青森県中泊町で約130haの規模(水稲・大豆)で自然農法を実践する㈲瑞宝や、香川県観音寺市から世界へ販路を広げてきた大平やさい㈱など、独自の工夫で農業に挑む経営者の声を直接聞くことができた。
 更に、気候変動への適応や地域と農業の共創をテーマに、「地球温暖化は敵か味方か」「持続可能な地域と農業の未来を考える」といった視点で、再生二期作や人口減少の時代に人が集い、どう次世代につなぐかについて、農業の未来に必要な取組を専門家とともに考えるセッションも行われた。
 続く第2部では、起業家精神をもって農業に挑む生産者を表彰する「GROUNDBREAKERS AWARD」の最終プレゼン審査と授賞式が実施された。全国から100件以上のエントリーが集まり、予選を突破した5名が最終審査に臨んだ。大規模生産から地域資源循環型畜産、ブランド化やDXを活用した経営など、多様な分野の挑戦者が登場し、農業の新たな可能性を提示した。
 そして、最終審査では㈱うめひかり代表の山本将志郎氏が大賞に選ばれた。同氏は会場とオンライン視聴者が選ぶオーディエンス賞にも選ばれた。
 イベント後半には、農業の「産業化」をテーマに、経営・投資・IT分野の専門家を交えたトークセッションも行われ、多角的な視点から農業の未来が議論された。農業を「ビジネス」として捉えることで新たな価値を生み出し、経済性と社会性を両立した未来産業として育てるためのヒントが示された(詳細次号)。]]>
Tue, 20 Jan 2026 08:00:00 +0900
<![CDATA[日農工賀詞交歓会  情熱と行動力で突き進む]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/13/10344 Tue, 13 Jan 2026 12:00:00 +0900 <![CDATA[令和の米騒動 需要の増加が要因 インバウンド需要などで]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/06/10342  今回、価格が上昇した大きな要因は農水省の需給の見誤りによるところが大きい。
 農水省はこれまで、翌年産の需要見通しと、生産量の見通しを人口減少等に基づく需要のマイナストレンドの継続を前提として作成してきた。一方、実際の需要は、直近2年は増加傾向にあったことがわかっている。その要因としては、①令和5・6年産とも高温の影響で精米歩留まりが悪化し、より多くの玄米が必要となった②コロナ明けでインバウンド需要が急増した③米不足に対する不安等により家計購入量やふるさと納税の返礼品が増加した――ことが挙げられる。例えば精米歩留まりで言えば、令和2~4年産の平均が90%に対し、5年産88・6%、6年産89・2%。この歩留まり減少により精米供給量は令和5年産で10万玄米t程度、6年産で6万玄米t程度減少したとみられる。
 具体的に需要量と生産量のズレをみてみると、米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針では令和5/6年の需要量は705万tに対し精米歩留まりを踏まえた需要量推計は717万t。一方生産量は661万tで需要と生産の誤差は56万t。令和6/7年は基本指針の需要量が711万tに対し、推計需要量は707万t。これに対し生産量は679万tで需要と生産のギャップは28万tとなっている。
 このため、在庫の取り崩しが行われ、令和4/5年197万tが令和5/6年153万t、令和6/7年は121万tにまで期末の民間在庫量が減少している。 こうした分析を踏まえ、昨年11月には、「米の安定供給に係る短期的な対応策」がまとめられた。
 主な柱は①生産量に関する統計調査の精度向上②需給の変動に柔軟に対応できる需給見通しの作成③流通構造の透明性確保のための実態把握の強化等④今後の備蓄政策について――の4点。
 このうち、生産量に関する統計調査の精度向上では、ふるい目幅の見直し(新たに生産者ふるい目を公表)のほか、白未熟粒、着色粒等の割合の公表が令和7年産から実行されているほか、これまでの坪刈り調査に加え、試行的にJA等の乾燥調製施設のデータを統計的に活用可能か検証することとし、令和7年産は約600経営体で、令和8年産で約5500経営体で調査手法を検証。その後統計委員会の承認を経たうえで、令和9年産は約2万1000経営体での実施を目指す。]]>
Tue, 06 Jan 2026 12:00:00 +0900
<![CDATA[新春特別インタビュー 渡邊毅事務次官に聞く]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/06/10341 農業を“儲かる産業”に   サービス事業体の存在が重要

  昨年4月に食料・農業・農村基本計画が閣議決定され、基本法の理念の実現に向けて、新たな農政が動き出した。一方、一昨年から続く米を巡る混乱、否応なく進む担い手の減少・高齢化、高止まりを続ける生産資材等の価格とそれを十分に反映しきれていない農産物価格など対応すべき課題は山積している。今回、新春特別インタビューとして、農林水産省の渡邊毅事務次官に山積する課題への対応や今後の農政の方向性などを聞いた。

 ――昨年、新たな食料・農業・農村基本計画が閣議決定されました。計画のポイントは。

「一昨年6月に25年ぶりに新たな食料・農業・農村基本法が改正されました。この新基本法の具体化を図るために策定されたのが、今回の基本計画です。改めて基本法の柱を紹介すると、①食料安全保障の確保②環境と調和した農業③農業の生産性・付加価値の向上と農村における地域社会の維持・振興――の3点です。このうち、食料安全保障については、農業生産の増大を基本としつつ、安定的な輸入と備蓄を行うことで確立します。今後人口減が予測されるなか、それに合わせて生産を縮減していては食料安全保障を確保できません。輸出を含めた生産の拡大と生産者の所得向上を図る必要があります。重要なのは『生産基盤』をしっかり維持していくことです」

「『生産基盤』とは、『人』『農地』『技術』『資源』などが挙げられますが、それらについて、それぞれ、具体的な目標(KPI)を定めたのが今回の基本計画の大きな特徴の一つです。例えば、49歳以下の担い手数について現在の水準を維持する、農地の確保については412万haの農地面積を維持する、生産性向上の点では米・麦・大豆の単収を1~2割上昇させる、などです。このKPIについては、定期的に見直し、成果が出ているものについては更に押し上げる、成果が出ていないのであればやり方を変える、といった形で見直しを進めます。これが基本計画の大きなポイントです」

 ――食料・農業・農村基本法成立後の初動5年間を農業構造転換集中対策期間として取組を強化されていますが、その初年度となる令和7年について。

「担い手を減らさない、農地の集約化、単収を上げるといったソフト面での目標を実現するためには、ハード面での対応が重要となります。例えば農地の大区画化や共同利用施設の再編集約・合理化などです。これについては別枠予算として、今後5年で事業費として2・5兆円(国費で1・3兆円程度)を目指しており、令和7年度補正予算で約2400億円を計上しました。当初予算でもしっかり確保していくことが必要です。また、共同利用施設の再編集約・合理化については、令和7年度予算から取組が始まっていますが、現場からは資材費や人件費の高騰に伴い地元負担を軽減しなければ、再編などが進まないとの声を頂戴しており、令和7年度当初予算では、通常2分の1補助を県が5%、市町村が5%上乗せで補助することで計60%の補助としました。この補助率について、令和8年度予算では、更に地元負担を軽減するため、県・市町村とも8・3%まで引き上げることで、全体で3分の2補助とするとともに、県や市町村が負担する分については、地方財政措置で支援することとしています。これらをもとに共同利用施設の再編などを更に加速させたいと思っています」

 ――全農が掲げる91農業(自らの生活の1割に農業を入れる)について。

「今回の米を巡る問題でも消費者と生産者の距離が非常に離れてきていることも要因の一つとなっています。そうした点からも消費者が農業生産の現場に参画し、農業を知ることは非常に好ましいこと。ただ、農村の人口が減少していく中、それだけでは上手くいかないと思っています。農林水産省で地域政策として行っているのは、農村と企業を繋ぐということです。日本の企業は高い技術を持っていますが、地域の抱える課題についてはよく知りません。一方、農村の人は企業がどんな技術や能力を持っているか知りません。近年、その両者を繋ぐ存在として貢献する地方銀行が出てきました。農林水産省としては、そうした取組を横展開するため、「『農山漁村』経済・生活環境創生プラットフォーム」を立ち上げており、すでに600以上の企業にご参加いただいています。例えば、日本郵政と地方農政局が協力し、農村の課題を把握した地方農政局が日本郵政の支社に繋ぎ、物流の問題だけでなく郵便局で手助けできないか検討するといった活動も始まっています。これはまだ、一部の農政局管内でしか行われていませんが、全国的に横展開したいと考えています」

 ――昨年8月から米を巡る混乱が続いていますが、改めて今回の混乱について。

「一昨年8月の南海トラフ地震臨時情報をきっかけに価格が徐々に上昇、4月以降4000円台(精米5㎏)となり、それ以降ずっと高い水準で推移しています。その要因について、政府全体で検証を実施した結果、生産量が減少したのではなく、需要が伸びたことによって需給ギャップが生じてしまったことが要因だとわかりました。ただ、需給ギャップは50万t程度であり、全体の需要約700万tのうち、50万t振れただけでこのような事態となるのは良くないことだと考えています。今回、50万t程度にも関わらずこのような混乱となったのは、一つには農協以外に流れていた部分が全く把握できていない、流通の不透明さ。加えて、当初『生産が足らなかった』との声もあった通り、農林統計に対する信頼性の低下。そして、もう一つは、需給ギャップを埋めるはずの民間在庫がすでに売り先の決まっているものばかりで、需給調整の『バッファ』として機能しなかったこと。以上の3点です」

「こうしたことから、政府では短期的にすべきこと、中長期的にすべきことに分け、昨年11月28日には短期対策をまとめました。具体的には、流通の実態をしっかり把握するということ。もう一つは統計の見直し。将来的には人工衛星やデータを活用し、作付面積や収穫量をより正確に把握できるよう見直します。最後の一つ、備蓄については、民間での備蓄の検討や需給の見通しを幅を持って行うこととしています」

「中長期的には、令和9年度からの水田政策の見直しの議論をしっかりやっていくということになります。その方向性については、基本計画でも書き込まれていますが、一つは作物ごとの生産性向上の取組を支援するという方向へ転換します。米については、輸出や米粉など新たな市場開拓を含め需要開拓を進めていきます。更に大区画化やスマート化、青刈りとうもろこしなど国産飼料や麦・大豆の生産性向上などが挙げられており、その具体化を今後進めていきます」

新技術の普及を後押し


 ――大区画化とも関連することですが、昨年3月末までにまとめられた地域計画では、全国1万9000カ所で策定されていますが、将来の担い手がいない農地が3割程度あるなど課題も多いと思います。今後のブラッシュアップの方向性をどうお考えですか。
「地域計画は簡単に言うと、どの農地を誰が担当するかを決める計画。今回わかったのは10年後の担い手が決まっている農地は面積で1割程度しかなく、3割程度は未定。地域によっては6割にのぼるところもありました。このままにしていては耕す人のいない農地が荒れてしまうのは明らかです。耕す人がいない農地には担い手を位置づけられるよう計画をブラッシュアップしていく必要があります。そのためにはまず用途に応じてエリアを定めるということ(例えば、田畑のブロックを定め、『米を作る』『野菜を作る』など作物や栽培手法に応じたエリアを作るなど)。また、担い手がなかなか見つからないということであれば、新規就農者を呼びこむことになりますが、その際には営農がしやすいよう耕作する農地を団地化することなどが想定されます。いずれにせよ、国の職員もその現場に入ってアドバイスするなど、できる限りの支援をしたいと思います」

 ――新規就農者を増やしていくために必要なことは。

「まず、基本的には農業が儲かる産業にならなければなりません。そのためには、今頑張っている方が、付加価値の高い商品を作って高く販売する、生産性向上でコストを下げるといった工夫が必要です。儲かる農業に向けては、みんながやらないことでも、ニーズがあるところを狙って生産すると良いのではないでしょうか。例えば、玉ねぎで言うと、加工・業務用は価格が安く敬遠されています。しかし、ある農家の方は加工・業務用に限定して大規模に生産し、皮むきまで行って出荷することで、高単価で儲かる農業を実現されていました。誰もが儲からないと思うところを工夫して専門にやったことで一人勝ちになっています。初めから無理だとか、儲からないと諦めず、ニーズがあるところはどこか、そこで儲けるにはどうしたら良いかをよく研究すれば、それを打破する方法を見つけることができます。需要側がどういうことを求めているかを知ることが大切です」
「また、農地については、新規就農者にとって、所有するという形はハードル、リスクが高すぎます。借りるという形が一番適していると考えており、そのためにも農地中間管理機構(農地バンク)の役割は重要となってきます」

 ――基幹的農業従事者が20年間で約4分の1にまで減少すると予想されるなか、今後益々少ない人数でより多くの面積に対応しなければならなくなります。そうしたなかで、カギとなるのは、水稲で言えば直播栽培などの栽培技術と、スマート農業技術をはじめ、機械・資材だと考えております。「より省力的な技術」の普及に向けてどのように進めていかれるのでしょうか。また、スマート農業機械を含め、省力的な機械・資材の普及に向け、メーカー及び農業機械販売店など農業機械業界に期待することは。

「省力化に向けては直播に代表されるような省力化に資する農法の採用のほか、省力化機械と機械に合わせた栽培方法をセットにしたスマート農業の2通りに分かれます。前者、農法については直播の他にも近年は再生二期作の取組も始まっています。乾田直播については、技術的には更に難しいものではありますが、節水型乾田直播といった、より省力的な技術も出てきています。そうした新たな技術で省力化を図ってコストを下げていくということは後押ししていきたいと思います」

「もう1点のスマート農業については、法律(スマート農業技術活用促進法)もできたので、それをもとに、まずは機械の研究開発、特に、従来から言われていることですが、果樹や園芸など機械化が遅れている分野について、国が率先して開発を進めていきます。また、その機械を使う人をどうするかもポイント。これまでは農家がやるのが普通でしたが、今後は『サービス事業体』の存在も重要になります。メーカーや販売店自身が、機械の販売だけでなく、作業代行などのサービスを提供する方向へ切り替えることで、農家負担を下げていくことにも期待しています」

「また、もう一点お願いしたいのが農作業安全。依然として機械を巡る事故は多いです。農家の方にしっかりと間違った使い方をしないようにご指導いただきたいと思います。加えて機械メーカーの事故を回避できる技術の開発にも期待しています」。]]>
Tue, 06 Jan 2026 12:00:00 +0900
<![CDATA[2026新春インタビュー「激動の時代の舵をどう取るか」 三菱マヒンドラ農機CEO取締役社長 齋藤徹氏に聞く]]> https://www.nouson-n.com/media/2026/01/06/10340 農家目線の機械提供 本業守りながら多角化を

 ――2025年の概況。

「国内は、主食用米の高値が農機業界を元気にしている。2024年の秋頃から需要が戻ってきた。それまで、農家は低米価のため、効率を上げられる機械が欲しいと思っても我慢、更新が必要になっていても我慢、というようにしてきたのだろうが、いまはその反動とも言っていいほどの購買意欲の力強さを感じている。特に年末までは旺盛な注文が続くのではないかと思っている。当社は年内納品の要望に応えられる機種を提案するなど営業現場も対応に追われており、極力、お客様にご迷惑をおかけすることのないよう生産・供給体制を整えるよう努めている。一方、米の乾燥・調製関係の需給は別で、今年納品できなくても、来シーズンのために発注していく農家も多い。今発注しておかないと、来シーズンも手に入らない場合があるようだ。来年度まではそのような受注残もあるので、比較的安定した状況で推移するだろうとみている。ただし、令和7年産米は作柄が良く、かつ大豆や酒米・飼料用米から主食用米に転換した農家さえもあって増産が進み流通在庫も積み増されているだろうから、米価が高止まりを維持することは考えにくく、市場動向は読めない。消費者が買える価格で、かつ生産者である農家が生産意欲を維持していける価格に早く落ち着いてくれることを願っている」
「新商品では、好評のディスクハロー『KUSANAGI』の第2弾として、ボリュームゾーンである60~105馬力トラクタに適応する『KUSANAGI Plus MDH2022』を昨年8月に発売したが、反響が非常に良い。発売直後にもかかわらず、ホームページの動画再生回数がすでに160万回を超えた。農機の動画で100万回を超えるものはそうそうないらしく、農家の方々に興味を持っていただけていると思っており期待している。実績はこれからだが、実演依頼を確実に実績に結び付けていきたい。良い土を、速く(一般的なロータリ―の1/4の高速作業)、簡単に作れるので実演を通じて広くお勧めしていきたい。また、水田適用性も十分に向上させた小型トラクタXS(クロスエス)も順調に実績を伸ばしている。もう1機種、田植機XPS6とXPS8。これらは、今後益々大型化していく稲作にぴったりの機械だ。疎植も密植も同じミッションでできる、また業界最高速の1・95m/s。SEナビ仕様も準備万端にして、春に向けて積極的に売っていきたい」

 ――会社の構造改革。

「引き続き事業の効率化も進めてきた。営業拠点の統廃合・再編もその一つだ。やはり農家も減り、お客様も減っていく中でこれまでのような多店舗展開は難しくなっている。現在全国の拠点数が80くらい。これくらいがベストの体制だと考えている」

 ――海外は。

「輸出は相変わらず厳しい状況が続いている。我々の海外事業のほとんどは米国向けのトラクタだ。トランプ関税は一般的には相互関税15%に落ち着いたが、農機は一般的な相互関税の対象外の鉄・アルミの派生製品部分が9割近くあり、すべて日本製造の弊社のトラクタは関税のインパクトが大きい。関税を負担するのはマヒンドラの現地法人だが、価格転嫁をせざるを得ず、そういうことからも販売にブレーキがかかっている。もうしばらくは我慢、様子見をするしかないと思っている。北米向けトラクタの輸出は2021年がこれまでのピークで9500台ほどだったが、今は大きく落としている。そこを何とか国内事業で補っている状況だ。市場動向を注視しつつ在庫調整は進めており、その調整が終われば出荷も増えていく。今が底だと思っている。米国以外については、私が就任以来開拓してきたベネルクスやトルコへの輸出地域拡大をしてきた」

 ――2026年の展望。

「国内は米価がカギになる。KUSANAGI Plusのような新商品もある。また市場も大きく冷え込むことはないと思うので、今の勢いを維持できると考えている。そして海外、北米は在庫調整も進んでいるので2026年にはさすがに上向いてくるだろうと期待を持って見ている」

 ――2026年の事業方針。

「まずは、我々らしい、農家のニーズに根差した農機の提供をしっかりとやっていく。身の丈を超える、スマート農機やITを追いかけなくとも、我々が培ってきた農機本来の基本技術の深化で、農家のお役に立てる農機の提供はできる。また、これからも海外から、日本の農業に役立つ作業機なども持ってくる。さらに三菱重工とのコラボレーションも我々の強みだ。その1つが三菱重工製の空調機と秀でた空調制御技術とに我々の施設園芸のノウハウでハウスや栽培棚などメカニカルな部分を組み合わせた夏秋イチゴの施設。これが軌道に乗りつつある。京都・八幡市の観光農園『おさぜん農園』が8月に実証試験として使用したハウスを私共で商業用に改修した施設を使って夏秋イチゴの観光農園をオープンしたが、そのイチゴの出来が素晴らしい。事業としても採算性に優れ、さらに拡大したいといわれている。美味しいイチゴが夏でも提供できるとなれば、その市場規模は大きい。この展開にはかなり期待している。もう1つ、紙マルチ田植機。ここのところの米価高騰で有機米の需要は落ちるのではないかと危惧する声も頂いたが、有機米生産をやる人は自分なりの信念やこだわりを持っている人。落ち込みはない。先日、協定締結している埼玉県幸手市は学校給食に広げていく話がまとまった」

 ――2026年は創業111周年にあたりますね。始まりを意味する1が3つ。111周年への想いを。

「日本の農機業界には100年を超える老舗企業が多い。長く続いていくためには、伝統に裏打ちされた自社の本業をしっかりと守りながらも、事業の多角化を進めていくことが必要だと感じている。農機の市場が縮小する中、日農工の会員さんでも農機だけで成り立っている会社は多くない。我々も農機で培った専門性と技術力、エンジン以外は全て自前で鈑金・塗装まで賄える製造業の一貫技術を持っているという強みを生かせる事業展開も模索している。あわせて、自動車や電機など様々な業界ともコンタクトを取り、連携について具体的な話も進んでいる。他企業のものを請け負う時の難しさの1つは企業ごとに異なる品質基準の考え方だと感じている。ただ、困難はあれどもやっていく価値があると思っている。〝Together We Challenge~挑戦する喜びの共創~〟。全社員とともに、これを念頭に2026年も前進していきたい」

 ※本インタビューは昨年12月に行ったものです。

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Tue, 06 Jan 2026 12:00:00 +0900